2023年今年の夏は、史上初の猛暑日の連続でした。私が参加している小川町有機農業塾での講師である農家さんの畑でも猛暑対策に追われていました。家庭菜園でも、今年だけでなくこれから先、猛暑対策の必要性が高まっていくと思います。家庭菜園で、できる猛暑対策を考えてみました。
猛暑の中での人参種まきでの対策
8月上旬の土曜日、小川町有機農業講座での1コマです。この日も連日の猛暑の中、人間も熱中症熱中症対策をしつつ講義が行われました。写真のように、日陰を作っての作業でした。上の写真は畝に紙マルチを敷き、穴の開いているところに人参の種を手作業で播いているところです。下の写真は、播き終わった後、連日の強い日差しから発芽を守るために遮光ネットをかけているところです。
費用のことを考えないなら、畝の2mくらいのところに遮光ネットを貼り、日差しの強さに合わせて遮光ネットが移動できるよう、可動型にすればより効果的とは思います。ですが、広い農地にネットを張り巡らすのは費用的にも労力的にも現実的ではありませんね。
とは言うものの、私たちのような家庭菜園レベルでしたら、キャンプで使うタープを張るとか、もっと小さなスペースならパラソルで遮光するとか、色々と工夫がしやすいと思います。水やりをすることを考えると、家庭菜園ではこのやり方の方が効果が高いと思います。
朝方から午前中の太陽光は、生育に効果が高いですが、お昼過ぎの太陽光は、極端に強いため、遮光してやることが、今年の夏のような場合は望ましいですね。家庭菜園では、小回りがききますので、ひと手間かけて対策をしていきましょう。
この日は、人参の種まきを行いましたが、あまりの猛暑で発芽に影響することがはっきりと分かっているため、この農場での現実的な対策として遮光ネットを使ったということです。
「この後、発芽した後になって分かったことなのですが、発芽率が悪いのは仕方ないとしても、発芽したものまで数日経つと消えてしまいました。」あまりの暑さで成長しないのです。9月上旬の時に、講師の先生たちと交わした言葉が忘れられません。”今年はニンジンが想像以上に高くなりそうだな! ”・・・
発芽率の悪いのを補うため、時期をずらして何回も種まきをしていました。下手な鉄砲も数えちゃ当たる、とは違いますが、工夫というよりは忍耐といったところですね。
この記事を書いている10月7日現在、今朝の新聞で、野菜の高騰が伝えられていて、人参はなんと昨年の4割以上も高いとのこと。今年の人参だけでなく、これからの食料自給のあり方を、国をあげて、いや世界を上げて考えるところに来ていると感じています。
猛暑を必死に耐えるかぼちゃ
写真の作物を見てください。かぼちゃなんですよ。葉っぱも垂れてるところが多く、かぼちゃの実そのものも成長率が大変よくないです。
地ばえでの栽培でなく、空中栽培ですので、より暑さに影響を受けているのでしょう。かなり瀕死の状態です。畝には多量の草マルチが敷いてあるのがわかると思います。土の保湿はある程度の対策ができているものの空中の部分は、猛暑に耐えられずこのような状態になったわけです。このことからも草マルチの有用性が分かります。草マルチそのものが猛暑対策になるということです。
昔ながらの夏の暑さ程度なら、元気に生い茂っているところです。今から50年以上も前、私が小学生だった頃は、30度を超える日は、ひと夏に2,3日程度でしたからね。それが今年は、連日の35度!猛暑対策が必要になるわけです。
下の写真は、猛暑で弱ってしまったごぼうへの水やり作業です。早朝の水やりも非常に有効な猛暑対策になりますねこの農場では、圃場(ほじょう=農場のこと)の中に井戸が掘ってあるので、そこから水中ポンプを使っての水やりが連日行われていました。猛暑対策で、朝5時頃から8時頃まで行われている作業です。
やはりこの畝でも、多量の草マルチが見てとれます。このように、可能な限り草マルチを使っているのが分かります。
それでも広い広い農場のこと、手が回らず、応援の方が早朝から手伝ってくれているそうです。今までの夏だったらそのようなことはせずに、生育していたわけですから、その作業だけでも大変なコスト高ということになりますね。
それでも収穫できれば良いですが、枯れてしまう作物も多く、今年だけでなくこれから先の農業は、気候とどのように折り合いをつけていけば良いのでしょうか?ごぼうへの水やり作業を眺めながら、心を痛めたシーンでした。
天候相手の有機農業、露地栽培、猛暑に対するできることは限られますが、精神力と行動力も維持工夫しながらやっていきましょう。
まとめの感想
家庭菜園をやられている方も、気候のことを考慮して、今年のような猛暑の時でも対処できるよう、水の確保を考えるべきと思います。家庭菜園では水道の水を使うことに使う人が多いでしょうが、水の量も馬鹿にしたものではありません。雨水利用をするとか、工夫が必要になると感じました。できるところから、工夫してやっていきましょう。
家庭菜園でできる猛暑対策
- タープやパラソルなどでの遮光
- 雨水利用
- 裏庭などの日陰の活用
- ミスト装置の利用
我が家では、これがとても好評でした。窓の外に設置したミスト装置から噴出されるミストは、作物の生育に効果が高かっただけでなく、部屋の中まで涼しくて、一石二鳥の効果でした。 - お風呂の残り湯(入浴剤は厳禁)の水やりへの活用
庭の片隅に小さなため池を作って、一旦、貯めてから使う。洗濯機に使うふろ水ポンプと長いホースがあれば可能です。貯水効果高めるには、ため池の底に、厚手のビニールを敷く。
・・など。
農業塾講師の一人、ある農家さんは、息子さんが農場を継いでいるため、これから先の先のことも考えて、栽培技術の変革に日々取り組んでいます。何十年と使ってきた農業技術が、気候変動で使いにくくなる中、新しい技術を身につけようとする姿勢に強く感銘を受けるとともに、生きるということを強く考えさせられます。