家庭菜園の楽しみ方は人それぞれとはいえ、雑草対策は頭を悩ませる課題の一つではないでしょうか?雑草は、ただ除草するだけでなく、使い方によっては、とても有用な農業資材となり得ます。この記事では、「草マルチの家庭菜園における有用性について」紹介します。雑草を適切に利用することで、土壌改良や保湿対策、さらには肥料の代替としても活用できるのです。ぜひ、この記事を通じて、雑草の有用な使い方を実践してみてください。
マルチとは
まずは一般的な知識として農業におけるマルチというものは次の通りです。農業において、”マルチ”は、土壌を覆うことを意味しています。また、それに利用される素材のことです。一般的に、有機物(例:雑草、木くず、乾燥した葉、わら)や、プラスチックフィルム,紙のシートなどが利用されます。マルチすることによって、次のような効果があると言われています。
土壌を保護することで、
- 水分蒸発を防ぎ、保湿効果がある
- 土壌の保温効果がある
- 雑草の成長を抑制する。
- 作物が土壌に直接触れるのを防ぎ、作物を清潔な状態に保つ
このように、マルチは農業作業として、大変効果的な方法の一つです。
草マルチについて
上の説明でマルチというものが理解していただけたことと思います。色々な素材のマルチが存在しますが、雑草を使ってマルチをすることを草マルチと言っています。私が通っていた小川町有機農業塾の講師である農家さんでも非常によく使われていました。
ただ、その労力は大変なものがあり、ある程度の大規模生産者になりますと、どうしても一般的なマルチ素材に頼っているのは致し方ないと感じました。
草マルチと他素材のマルチ~作業の違い
農業塾での草マルチ作業では、田んぼ周りの畔の草を草刈り機で刈り取り、それを熊手でかき集め、軽トラに積み込み、圃場(畑のこと)まで運び、作物の畝に刈り取ってきた草でマルチをするということの繰り返しです。このように非常に手間と労力と時間がかかる作業であり、プロ農家の方といえども草マルチだけで、全てのマルチ作業を行うというわけではありません。
それと草マルチの欠点というわけではありませんが、使い方が限定される場合もあると感じました。それは、畑に直播をするような場合は、マルチ材として使うことができないのです。直播した上に草マルチで覆ってしまっては、発芽の妨げになってしまうということです。この場合は、紙かプラスチック素材のマルチシートを畝に張り、穴を開けて(穴の開いたものもある)そこに種をまいていきました。
特に規模が大きくなった農家さんでは、プラスチック素材を使ったマルチシートを使うことが多かったです。たださすがに有機農業塾のプロ農家さんということもあり、光分解性の素材を使っていました。この成分の素材は、使用後に回収して処分するのではなく、時期が来ると分解されてしまいますのでそのまま土の中にすき込むことができてしまうというものです。
発芽して、作物がある程度大きくなった頃になると、シートは分解を始め、収穫の頃にはシートはボロボロになっていました。このシートは黒い色をしていたので、それが畑に散乱しているのは、あまり気持ちの良いものではありませんでした。
作物に対する安全性には問題ないと言っておられましたが、限りなく自然素材で栽培したい農家の方は、使用されていないなど、同じ農家の方といえども、規模や考え方によって、作業スタイルが大きく違うのを感じました。
草マルチで持続可能な農業
有機農業塾で草マルチを使っての農作業をしながら次のようなことを感じました。
特に、最近の気候の変化は凄まじいものがあり、今年の夏は歴史的な猛暑でしたね。こうした中、持続可能な農業スタイルで家庭菜園を続けることは、自分の家の食料対策になるだけでなく、環境対策にも良いものがあると感じます。
多くの人が草マルチのような自然素材で、身の回りにある土地の有効活用をして欲しいものです。
水資源の節約: 草マルチは土壌の保湿効果を高め、水分の蒸発を抑制します。こうすることで、水を大切にしながらの栽培につながると感じました。今年のような猛暑でしかも雨が少ない時は、草マルチの厚みも10cmですとは効果が高いと感じました。
- 土壌改良
草マルチは土壌を保護するだけでなく、時間と共に分解され、土壌中の有機物を増やすことに役立ちますね。雑草を刈り取り畑に引き込む手間は大きいですが、その後の効果は、保湿に加え肥料としても効果が高いと感じます。ましてや100%の自然素材ですので、安全安心度は最高ですね。 - 生態系の保護
草マルチによって害虫と点滴のバランスが維持されることも大事なことだと思います。草マルチによる雑草は、昆虫にとっての大事な生息環境となっていると感じました。
草マルチを多量に施した畑には、てんとう虫やバッタ,トンボ,名前もわからないような多くの種類の昆虫たちがいました。草マルチを剥がして土の中には、ミミズがいたりと、本当に自然豊かな環境となっているのが感じられます。
多くの虫たちの中には、当然、害虫もいるわけですが、害虫を捕食する天敵も多く生息していて、バランスが取れているんだと教えられました。さらに草マルチの敷き込み作業をしている時には、小鳥たちがやってきて、草マルチの上を探し回って、害虫を捕食していました。
まとめ
持続可能な農業は、私たちの未来に向けた重要な課題です。
家庭菜園でも、いや家庭菜園だからこそ、栽培の効率化だけではなく、自然環境に配慮した栽培法を取り入れると良いのではないでしょうか。
その1つとして雑草を有効活用できる草マルチは、大きな可能性を秘めた方法だと感じます。確かに大変かもしれませんが、後々のことを考えると、生態系のバランスが取れ、虫たちの活動にも目が止まり、小鳥たちも訪れてくれて、楽しさ倍増と思います。
2年3年と続けていくと、雑草の堆肥化によって土壌も徐々に肥沃になり、収穫量が増え美味しい作物となることでしょう。大変な作業の中に大きな喜びの未来が待っていますよ。