温室ガス60%削減「政府案」に見る現代社会の課題
この一コマ漫画(新聞 赤旗2024/12/21掲載)は、政府案に対しての風刺漫画です。
今の学校教育では、社会や社会を創る政策に触れる機会が少ないと思います。
サイト運営者の友人である漫画家の白川忠志さんが、新聞赤旗に投稿した風刺漫画から、批判的思考力を鍛えてみましょう。
具体的な考え方や行動についても触れていますので、皆さんの気づきの一つになったら嬉しいです。

この一コマ漫画では、日本政府が掲げた温室効果ガス60%削減案について描かれています。
この提案に対し、「もっと削減率を下げるべきだ」と主張する経団連の声と、それに続く「世界の平均よりも低いなんて」というセリフから、政府案の不十分さを皮肉っています。
果たして、地球規模の環境問題に対して、私たちはどのような視点を持つべきなのでしょうか。
漫画の文言解説
- 「温室ガス60%削減『政府案』」
- これは、温暖化対策の一環として政府が掲げた目標を指します。
60%という数字は一見大きく思えますが、「世界の平均よりも低い」という点で、国際社会の取り組みと比べたときの遅れを示唆しています。
- これは、温暖化対策の一環として政府が掲げた目標を指します。
- 「60%よりもっと下げよう」— 経団連
- 経団連(経済団体連合会)は日本の主要な経済界を代表する団体であり、多くの場合、経済成長を重視する立場を取ります。
このセリフは、削減目標が経済活動に与える影響を懸念して、目標値の引き下げを提案していることを揶揄しています。
- 経団連(経済団体連合会)は日本の主要な経済界を代表する団体であり、多くの場合、経済成長を重視する立場を取ります。
- 「世界の平均よりも低いなんて」
- ここでは、政府案が国際基準に達していないことへの批判が示されています。
このセリフからは、環境対策に対する日本の取り組みが不十分であるとの認識がうかがえます。
- ここでは、政府案が国際基準に達していないことへの批判が示されています。
- 「危機感がゼロ、丸出し!」
- 地球温暖化に対する意識の低さや具体性に欠ける政策に対する痛烈な批判を象徴しています。
考察ポイント
- 現代社会の課題:
地球温暖化の進行が世界規模で深刻化している中、各国が削減目標を掲げて取り組んでいます。
しかし、この漫画が示すように、日本の目標値やその達成意欲が不十分だと感じる読者もいるかもしれません。次のような問いについて考えてみましょう。- なぜ日本の削減目標は「世界の平均よりも低い」と批判されるのでしょうか?
- 経済界の声を重視することが、どのように環境政策に影響を与えるのでしょうか?
- 読者の行動案:
- あなたが環境問題について意見を持つとしたら、どのように政府や企業にアプローチしますか?
- 自分の日常生活で温室ガスの排出を減らすためにできることは何でしょうか?
関連背景
温室効果ガス削減は、気候変動対策の中でも重要なテーマです。
日本では、経済成長や産業構造への影響を懸念する声が強い一方で、国際社会の基準や地球環境を守る責任との間でバランスを取る必要があります。
たとえば、欧州連合(EU)は日本よりも高い削減目標を掲げ、再生可能エネルギーの普及や炭素税の導入に積極的です。
この違いは、各国の政策や価値観の違いを反映しています。
より良い社会を考えるヒント
- 政府に対する提案:
- 環境政策の具体性を高めるため、国際的な基準や科学的データを重視した目標設定を行うべきです。
- 若い世代からの意見を政策に反映する仕組みをつくることも重要です。
- 個人の行動:
- 日常生活で省エネやリサイクルを心がける。
- 地元の環境保護活動に参加する。
- SNSを活用して環境問題について情報発信する。
中高生が議論できる3つの話題と具体的な考え方・行動案
- 話題: 日本の削減目標は十分なのか?
- 考え方: 「60%削減」という数字は他国と比べてどのような位置づけにあるのかを調べ、友人や先生と共有してみましょう。
- 行動案: 環境省のウェブサイトや国際的なレポートを調べ、日本の政策がどのような基準で作られているのかを資料として活用して議論。
- 話題: 経済成長と環境保護のバランスをどう取るべきか?
- 考え方: 経済界が主張する「成長重視」の意見と、環境保護の必要性の間でどうバランスを取れるか、親や先生と意見交換してみましょう。
- 行動案: 地域の企業や自治体が取り組んでいる環境保護の事例を調べ、身近な成功例を探して話題にする。
- 話題: 自分たちの生活と温暖化の関係は?
- 考え方: 日常生活で出ている温室効果ガスを減らすには何ができるのかを考え、親や友人と一緒にアイデアを出し合いましょう。
- 行動案: 家族で省エネ活動を始めたり、学校でエコ活動を提案するなど、小さな行動から始めてみる。
批判的思考のヒント
この漫画をきっかけに、以下のような視点を持つ練習をしてみましょう。
- 政府や企業が掲げる目標が本当に「妥当」なのかをデータで調べてみる。
- 複数の立場(政府、経済界、市民)の意見を比較し、それぞれの利点と問題点を考える。
- メディアや政策発表に対して「その数字はどのように決められたのか?」と疑問を持つ。
まとめ
この一コマ漫画は、環境問題に対する日本社会の課題を鋭く描き出しています。
私たち一人ひとりがこの問題について考え、行動を起こすことが、より良い未来を築く第一歩です。
目の前の課題を他人任せにするのではなく、自分がどのように関わるべきかを考えるきっかけにしてみてください。